プロフィール

Kodek

Author:Kodek
タイの社会・文化をタイ字新聞やタイ語の記事を通して理解しおうとするブログです。日本語で伝えるタイの情報にはどうしてもバイアスがかかってしまう。タイの新聞にはタイの新聞の「味」があります。おもしろおかしく紹介する風潮とは一線を画してタイ語の記事のおもしろさを伝えられればと思っています。

最新記事

最新コメント

リンク

月別アーカイブ

ブロとも一覧

フリーエリア

ちょっとした認識ギャップで外国語の文章を誤解すること--自戒を込めて

130109nishik;yoji


タイ字新聞を訳していると英文解釈がとても気になってくる。英語の構文よりもタイ字新聞のニュースやコラムのほうが複雑なので、英文がいままでよりやさしく感じるのだ。

大学受験者向けにはいろいろな英文解釈の本が出ているので、それらを見直すことが、また逆にタイ語の文章を読むときにも、構文に注意することを促すことにもなる。

そういうわけで、ネットをサーフィンしていると、受験向けの英文解釈の本を何冊も出している「西きょうじ」先生の文に誤訳かも知れないと言っているサイトを見つけてしまった。

西きょうじは大変優れた英語の参考書を何冊も書いている。『英文速読のナビゲーター』(研究社)もその一つだ。だが、よくよくみると誤訳かもしれない!?ものを発見!したので、ちょっと書いておきます。

と文章は始まっている。

写真に掲げてある箇所の英文の一部と西きょうじの訳を次のように掲載して、"the cultural variations”について異議を唱えているのだ。


"It could be argued against this that it is differences in climate rather than in racial factors that cause the cultural variations but the evidence is against this.”

「文化的差異を生じさせるのは、人種的要員の差異よりはむしろ気候の差異であると論じることができるだろうが、これに反する証拠がある」


つまり、上記の訳について、次のようにかのブログの著者は言っている。

有名英語講師の西先生の本ですから、もちろん構文読解等のミスはありません。しかし、「文化的差異」すなわち"the cultural variations”については、うーん、ちょっと異議ありです。

"the cultural variations”というのは前の文章を読んでみると、欧州、アメリカ合州国、日本、アフリカ等における双子の出生率の差異のことを指しているようです。したがってこの文章では、双子の出生率の差異をもたらしたのは、気候ではなく人種の違いであるということが述べられているわけです。


ここでブログの著者は止めておけばいいと思った。内容は十分理解しているのだから。ところが、culturalという言葉がどうもしっくりこないためなのか、その言葉を巡って暴走を続けていく。

さて、ここで問題です。双子の出生率の差異を文化の違いと表現している点です。「文化」とか"culture"というのは、そういった生物学的な領域まで射程に入れていないはずだからです。(大学でこういった分野を研究するならば、すくなくとも文化人類学や人口学(社会学)は絶対に勧めない。むしろ医学部あるいは理学部の人類学(人類生態学とか)であろう。なお東大付属中等教育学校は双子を優先的に受け入れる学校として知られていますが、双子の産み方はおそらく絶対に研究していません!)。

私もcultureを様々な辞書で調べてみました。というのは、Cultureのオランダ語(たしかKulturだったか。正確には覚えていない)には「栽培」という意味があることを知っていたからです。(旧オランダ領インドの「強制栽培制度」は英語では"culture system"という)。

英語のcultureには、やはり、植物の「栽培」という意味がありました。さらには、バクテリア等の「培養」という意味も! 受精卵の形成の状況において、それが双子へと成長していくのか否かというテーマならば、むしろ、この「培養」の語義を採るべきではないでしょうか? ああ、しかし、人間の出産がテーマなのにバクテリア?! (←どの辞書を引いてもバクテリアの事例しか載っていなかった)

結論的に"the cultural variations”の訳は、「双子培養(OR 受胎)率の差異」ということなのか? 正直に言って私はそれほど自信があるわけではありません。ただ、こちらのほうが理屈は通っています。暫定的にこの説を採ることにしましょう。

もし、ヨーロッパとアフリカとは双子の出生率が異なるよ、「クニが異なると双子の出生率も異なるんだよ」みたいな軽い感覚で書き手(≠西きょうじ)が書いたのだとしたら、気持ちは分かります。しかし、それならば、"the cultural variations"ではなく、"the geographical variations"「地理的差異」と表現すべきだったでしょう。またそのほうが、本文中の「双子・熱帯気候説」ともよく馴染むはずです。(←西も、そういう解説をすべきだったのだ)


文意をほぼ理解しているけれども、なぜ、"the cultural variations"が使われているのかしっくりこない。むしろ、"the geographical variations"「地理的差異」と言った方が正しいはずだというのです。

しかし、cultural valiations が文の前に述べている「それぞれの国の(出生率の)差異」を表していることは明らかです。それをgeographical(地理的な)差異といわないのは、climateとgeographicalの語彙の関係が近すぎて使うとおかしくなること(つまり地理的な差異と気候的差異はほぼ同じ意味となりますね。)と、「国」に対して英文の著者は文化的に(歴史的に)形成されたと考え、日本人のブログの著者は無意識的に地理的に形成されたと考えているところからギャップが生まれ、ブログの著者の誤解が生じているように思えました。

つまり、一般的に島国に住んでいる日本人の傾向として、国というのは地理的に成り立っていると考えるのに対し、英文を書いた著者(西洋人)は、国というのは文化的に(歴史的に)形成されていることを第一義としているという思考の差が、無意識的に英文解釈に影響を与えて、西さんの解釈を間違いだと、ブログで騒ぎ立てているのではないかと推測する次第です。

西さんが「文化的差異」と訳したのは確かに不親切かも知れませんが、間違いではないでしょう。もっと日本語訳を読者に読ませようとすれば、「(出生率における)それぞれの文化的に形成されている国の差異」等に訳すほうが親切だとは思いますが。

この「タイ字新聞~」の記事を興味深く感じていただけたら、
アイコンにクリックをお願いいたします。
皆様からクリックとコメントが励みになります。
どうぞよろしくお願いします。

にほんブログ村 外国語ブログ タイ語へ
にほんブログ村
にほんブログ村 海外生活ブログ タイ情報へ
にほんブログ村

タイ(海外生活・情報) ブログランキングへ
スポンサーサイト

<< 内閣、国家公務員が病気になり60日以上働かないときに退職させる措置を取る | ホーム | 不滅で確かなものになる >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 ホーム